手に職をつけることのできる看護専門学校は、人気の進学先のひとつです。ただ「医療系の学校は学費はどれくらいなんだろう?」というように、費用が気になるという人も多いのではないでしょうか。
看護学校にかかる費用は、大学か専門学校かという進学先によっても変わりますし、たとえ専門学校であっても学校によって異なり、一律ではありません。この記事では、看護系の学校の平均費用を参考にしながら、看護専門学校の学費についてお伝えします。
また、学費が払えない場合に利用できる制度についてもお伝えしますので、費用が高く悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
看護学校の学費の内訳
はじめに、看護学校でかかる学費の内訳を確認しておきましょう。大きく分けると、入学金や授業料などのような学校に納める費用と、それ以外の費用があります。
入学金や授業にかかる費用
入学金や授業にかかる費用です。これらの費用は、直接学校に納める費用になります。
なお、入学金は、入学する年だけに支払うもので、2年次以降は必要ありません。
授業にかかる費用としては、授業料、実習費、設備費、施設使用料などが挙げられます。これらの費用は、通学年数に応じて納めなければなりません。看護大学であれば4年分、短期大学や看護専門学校であれば3年分が必要となります。
その他の費用
その他の費用は、看護学校で学ぶために購入しなければならないものに充てる費用です。
教科書や参考書をはじめ、白衣やシューズ、実習で使う聴診器をはじめとした道具などが該当します。
看護学校の学費の平均費用はどれくらい?
では、学校に納める費用は、具体的にどのくらいなのでしょうか。学校ごとの平均費用を紹介します。
看護専門学校
看護専門学校の平均費用は、「令和4年度 専修学校各種学校 調査統計資料」(公益社団法人東京都専修学校各種学校協会)によると、入学金が182,000円、授業料が729,000円、実習費が66,000円、設備費が134,000円で、初年度の合計平均金額は1,156,000円でした。2年次以降、入学金はかかりませんが、看護専門学校の多くが3年制であることを考えると、トータルで3,000,000円前後の費用がかかると考えられます。
看護大学
次に、看護が学べる4年制大学に進学した場合の費用を見てみましょう。私立大学に進むか国公立大学に進むかで、費用が異なります。
私立大学の場合、「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(文部科学省)を参考にすると、入学料が245,951円、授業料が930,943円、施設設備費が180,186円で、初年度の合計平均費用は1,357,080円です。専門学校同様、入学料は初年度のみですが、4年間通うことを想定すると、4,600,000円~5,000,000万円、もしくはそれ以上の費用が必要となるでしょう。
国立大学の場合は、文部科学省が入学料や授業料の標準額を定めています。平成22年度以降の変更はないので、「平成22年度国立大学の授業料、入学料及び検定料の調査結果について」(文部科学省)を参考にすると、入学料は282,000円、授業料は535,800円です。この金額で単純計算すると、初年度にかかる費用は817,800円、4年間では2,425,200円となります。公立大学もほぼ同じと考えて差し支えありません。
看護短大
短期大学も、私立大学と同じ令和3年度の文部科学省の調査結果を紹介します。
それによると、入学料は237,615円、授業料は723,368円、施設設備費が166,603円で、初年度の合計平均費用は1,127,586円です。4年制大学より若干低くなっていますが、初年度納付金に大きな差はないと考えてよいでしょう。
ただし、通学年数は1年短い3年です。全体の費用は、看護専門学校と同程度と考えられます。
看護学校の学費が払えない場合に利用できる制度
看護学校に通うには、低く見積もっても3,000,000円ほどの費用がかかることが分かりました。決して安い金額ではなく、家庭の事情で払うのが難しいという人もいるでしょう。
しかし、経済的負担を軽くして学べる制度も用意されています。
たとえば次のような制度があります。
奨学金制度
看護学校に通う場合は、奨学金制度の利用が可能です。
学校独自に設けている制度、日本学生支援機構が実施している奨学金制度のほか、看護学校に通う学生を対象とした「看護奨学金制度」もあります。看護奨学金制度には、卒業後に指定の病院で一定期間働くことで返済が免除されるしくみもあります。
高等教育無償化制度
文部科学省では「高等教育の修学支援新制度」を実施しています。経済的な事情があっても進学できるよう、学費の免除や減額、奨学金の給付などを実施する制度で、一般的に「高等教育無償化制度」と呼ばれものです。
ただ、制度を利用するにあたっては、年収等の条件を満たすことのほか、対象の学校に入学していることが必要となります。
学校選択の際は、対象校であるかどうかを確認しましょう。
特待生制度
やる気のある学生を資金面からサポートする特待生制度を設けている看護専門学校も多数あります。授業料の減額をはじめ、成績次第では授業料を全額免除するという学校もあるので、こういった制度を狙って学校選びをすることも方法です。
看護専門学校や大学、短大でかかる学費の平均についてお伝えしました。看護師は社会的な需要が高いため、学費支援の制度も充実しています。どの学校がどのような制度を設けているか、ぜひ調べてみましょう。そのうえで気になる学校を見つけたら、資料を請求したり、説明会に足を運んだりすることが大切です。ナナビでも、学校選びや見学に役立つ情報を提供しているので、活用してくださいね。