大学は、大きく文系学部と理系学部に分かれています。そのため、高校のコース選択も文系か理系かを選びますが、受験にあたっては入学する学部を決めなければなりません。一口に文系といっても、幅広くさまざまな学部があります。だいたいの方向性を定めるためにも、文系学部の概要、学部の選び方としておすすめの方法を知っておきましょう。
文系学部にはどんなものがある?
文系学部には、大きく分けると人文科学系の学部と社会科学系の学部があります。ただし、明確に区分けされているわけではありません。人文科学系と社会科学系の両要素を併せ持った学部もあれば、理系要素の強い学部もあります。
ここでは、多くの大学が設置している主な文系学部をピックアップしてみましょう。
文学部
文学部は、大きな枠では、人文科学系統に分類されます。
文学作品研究のほか、歴史、哲学、文化、言語、心理、教育、映画・演劇など、社会文化を中心とした幅広い学問を包括した学部です。そのため「人文学部」と称する大学も増えてきました。
外国語学部
文学部と同様、人文科学系統に分類される外国語学部は、英語、フランス語、ドイツ語など、日本語以外の各国語について学ぶ学部です。単に読み書きができることを目指すのではなく、その言語が使われている国の歴史や文化、社会構造など、言葉が使われている背景についても知識を得ながら、理解を深めていきます。授業が外国語でおこなわれるケースもあり、留学を必須とする大学も多いようです。
経済学部
経済学部は、社会科学系統に分類されます。
経済とは、ざっくりまとめると、お金に関する社会活動のこと。お金の動く仕組みや理論を、生産、消費などの側面から研究します。対象は、国や社会全体から一個人の家計にまで及ぶこと、分析など理系要素を駆使した学問であることが、経済学部の特徴といえるでしょう。
経営学部
経済学部同様、社会科学系統に分類される学部です。
文字どおり、企業経営や組織運営に必要とされる知識の習得、モノを生産して売るための仕組み作りなどについて研究します。その性質上、金融や経済に関する授業が多いことも特徴です。
マーケティングなど、企業を成長させる手法を学び、起業に生かすこともできます。
法学部
社会科学系統に分類される法学部は、法律を学ぶ学部です。
「六法」と呼ばれている「憲法」「民法」「刑法」「商法」「民事訴訟法」「刑事訴訟法」をはじめ、社会生活を営む上で制定されているさまざまな法律について理解と研究を深めます。弁護士、裁判官、検事、社会保険労務士など、専門的な知識を生かした職業を目指す学生が多いことも特徴です。
近年は、一般企業にもコンプライアンス(法令遵守)が求められ、法律の知識を持つ人の需要が高まっています。
その他の学部
そのほか、教師を目指したり学校教育について学んだりする「教育学部」、人の心について研究し理解を深める「心理学部」、特定の対象にとらわれずに学ぶ「教養学部」などの学部があります。
「音楽学部」「美術学部」といった芸術系の学部、「体育学部」をはじめとしたスポーツ系の学部も、分類は文系です。
もちろん、紹介した以外にも、数多くの学部があります。どの大学にどのような学部があるのか調べてみると、思わぬ学部との出会いもあるでしょう。
学部選びのおすすめの方法
では、幅広い選択肢の中から、どのようにして学部を絞り込み、選べばよいのでしょうか。おすすめの方法を紹介します。
将来の職業から逆算して選ぶ
教師、検事、税理士など、就きたい職業があるなら、そこから逆算し、実現可能が学部を選ぶという方法がひとつです。「金融業界で働きたい」「商社に勤めたい」「物流に関連した仕事がしたい」など、仕事の方向性でもかまいません。必要な知識が身につけられることを前提に、学部をピックアップしてみましょう。
関心のあるテーマから選ぶ
今の自分にとって興味・関心のあるテーマから選択することも方法です。
「人間の心の動きが知りたい」「貧困問題を解決したい」「政治に興味がある」など、どんなことでもかまいません。自分が取り組んでみたいことを軸に、学部を絞り込んでみましょう。
教授や研究室から選ぶ
大学の授業は、教授をはじめとした指導陣、設置された研究室を主体におこなわれます。テレビや新聞などのメディア、書籍などで名前を知り「この先生に教わりたい」「この研究室に所属して、社会の役に立ちたい」と思うこともあるでしょう。その気持ちを選択基準にすることも方法です。
この場合は、学部だけでなく、志望大学も絞り込むことができます。
偏差値から選ぶ
自分なりに偏差値の目安を決め、その前後に分類されている学部を選ぶことも方法です。例えば「偏差値60」としたら、58から62くらいの偏差値に分類されている学部をチェックし、気になる学部を探します。
ただし、これは「合格しやすい学部を選ぶ」ということではありません。あくまでも学部を絞り込む手段のひとつとして考えてください。
学部選びの注意点
学部を選ぶときは、「募集人数が多くて合格しやすそう」など、安易な妥協は禁物です。入学後、どのような勉強がしたいか、将来は何を目指すかを考えて、選びをしましょう。そうでないと、授業に興味が持てず、学生生活を無駄に過ごすことになってしまいます。
もうひとつ気をつけたいのが、学部名称のイメージで学部を選ぶことです。いざ入学してみたら「想像と違った」と、後悔することになりかねません。学部を決める前に、積極的に情報を集めることを大切です。
大学の文系学部について説明し、おすすめの学部選びの方法を紹介しました。だいたいのイメージはつかめたでしょうか。最初は漠然としていてもよいので、まずは情報収集を始めてみましょう。その中に、気になる大学や学部があれば、説明会に参加してみてください。自分が動くことで、目標も少しずつ定まるはずです。資料請求、説明会情報はナナビでも提供しています。ぜひ、活用してください。