高校を卒業した後、大学と専門学校のどちらに進学するか決められないということも、よく聞く話です。進路を決めるときは漠然と考えるのではなく、さまざまな情報やデータに触れて考えるのが大切です。そうすることで、少しずつ自分なりの道が見えてくるからです。
この記事では専門学校に焦点を当て、進学率や入学者の内訳について解説します。
高校卒業者のうち専門学校への進学率
はじめに高校を卒業した人のうち、専門学校に進学する人はどのくらいいるのか、見てみることにしましょう。
文部科学省が公表した『令和3年度学校基本調査』によると、高校卒業者を含む18歳人口全体のうち、専門学校に進学した割合は24%となっています。およそ4人に1人が専門学校に進学しているという数字です。この割合は前年度と変わらず、過去10年ほどは横ばいという状態が続いています。
専門学校入学生の内訳
次に、専門学校に入学した学生の内訳について見てみましょう。
『平成30年度専修学校各種学校調査統計資料』(公益社団法人東京都専修学校各種学校協会と公益財団法人東京都私学財団が調査発表)をもとに考察していきます。
なお、調査に回答したのは、東京都内の専門学校生4871人です。
まず、高校を卒業して入学した人の割合は76.2%でした。
そのうち、浪人、いったん就職という道をとらず、卒業後すぐに入学した学生の割合は84.2%となっています。
専門学校には、大学や短大を卒業した人、卒業後に就職した人、別の専門学校を終えた人やその後で就職した人など、さまざまな経歴を持った人が入学してきますが、上記の数字からは、高校を卒業して専門学校に進む人が多いことがわかります。
では、高校を卒業して専門学校に進学した学生は、高校のどの時点で決断したのでしょうか。
いちばん多いのが3年生のときでした。54.0%と半数以上を占めています。
続いて、2年生の34.8%。両方を合わせると約90%と、多くの学生が2年生から3年生にかけて進路を決めたことがわかります。
次に、どうして専門学校に進もうと決めたのか、その理由です。
いちばん多かったのは「資格を取得するため」でした。次いで「興味のある分野の勉強ができる」「専門的な知識・技能を修得できる」と続きますが、上位3つの理由はいずれも60%前後で、大差ありません。興味があることの資格、専門知識や技能を求めて専門学校に進学したという背景が浮かび上がってきます。
専門学校への進学に関する傾向は?
専門学校への進学率や進学する人の内訳がわかったところで、専門学校そのものについても掘り下げてみましょう。
まず専門学校の数です。先ほども取り上げた文部科学省の『令和3年度学校基本調査』によると、全国に約2800の学校があり、60万人ほどの学生が勉強に励んでいます。
このうち女性の比率は57%で男性を上回っていますが、専攻分野によっても異なるので、一概に比較することはできません。
なお、学校数は平成18年の約3000校をピークに減少傾向にありますが、入学者数は、先ほどもお伝えした通り、ほぼ横ばいの状態が続いています。
最後に、どのような分野の人気が高いのか、ざっくりと見てみましょう。
専門学校の分野は、「医療分野」「教育・社会福祉分野」「衛生分野」「商業実務分野」「農業分野」「服飾・化成分野」「文化・教養関係分野」「工業分野」の大きく8つに分かれます。
それぞれの分野の中に細かい学科が設置されるという構造です。例えば医療分野には「看護」「歯科衛生」「臨床検査」「はり・きゅう・あんま」などの学科がありますが、どういった学科を設置するかは学校によって異なります。
この8つの分野で見たときに、2021年度の志願者数がもっとも多かったのが「医療分野」で、前年もトップでした。先ほど紹介した学科のほか「歯科技工」「医療放射線」「理学・作業療法」など、多岐に渡る学科が設置されていることも要因のひとつかもしれません。
「医療分野」に続くのが「文化・教養分野」で、学科としては「美術」「音楽」「デザイン」「映画」「演劇」などがあります。
「工業分野」も安定した人気で、学べるのは「自動車整備」「土木・建築」「電子計算機」など。中でも「情報処理」に関する学科の志願者数がここ数年で飛躍的に伸びている点は、時代を象徴しているといえそうです。
そのほか、「教育・社会福祉分野」では「保育」や「介護福祉」、「衛生分野」では「美容」「メイク」のほか「調理」「製菓」、「商業実務分野」では「簿記」「医療事務」「経理」、「農業分野」では「農業」「園芸」、「服飾・家政分野」では「ファッション」「アパレル」などの学科があり、専門的な学びを深めることができます。
専門学校の進学率やデータをご紹介しました。
資格取得、興味のあることの知識や技能獲得を目指して専門学校に進む人も、決して少なくはありません。
専門分野に分かれているので、自分なりの目標が決まれば学校選びもスムーズにいくのでは?
自分の興味関心と将来像を照らし合わせながら、志望校を見つけてくださいね。
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