多くの高校では2年生から、文系と理系にコース分けをしたクラス編成となります。そのため、1年生の後半には、文系と理系のどちらを選択するか決めなければなりません。とはいえ「文系と理系のどっちを選べば良いんだろう……」と悩んでしまうこともあるでしょう。この記事では、そういった悩みの解決に向けて、文系・理系を選択する方法、大学ではどのようなことを学ぶのかについて解説します。
文系と理系の選び方
「文系と理系のどっちを選べばいいの?」と悩んだ場合、「数学が苦手だから文系」「物理が好きだから理系」など、得意・不得意の教科を基準にするという方法もあります。しかし、方法はそれだけではありません。次のような観点でも、考えてみましょう。
将来の職業から選ぶ
将来やりたい仕事、就きたい職業が決まっているなら、それが叶う方を選びます。例えば、弁護士になりたいなら、文系の法学部が第一の選択肢です。建築や設計の仕事がしたいなら、理系の工学部や理工学部が候補になるでしょう。
「まだ、なりたい職業が決まっていない」という場合は、職業カタログやガイドブックを参考に、興味のある仕事をピックアップすることも方法です。その仕事から、文系か理系のどちらが将来に繋がるのか考えてみましょう。
学びたい学問から選ぶ
好きな作家の研究がしたい、デザインの勉強がしたい、ITの知識を身につけたいなど、学びたい学問から選ぶという方法もあります。作家研究やデザインの勉強なら文系、ITなら理系という具合です。
学部・学科から選ぶ
興味のある学部や学科から選んでもよいでしょう。ただ、近年は、これまでにない学部や学科を設置する大学が増えています。
まずは、文系・理系という枠にとらわれず、どのような学部や学科があるかを調べてみてはどうでしょうか。その中から、興味のある学部・学科が見つかれば、文系か理系かがおのずと決まります。
得意科目から選ぶ
現在の得意科目を基準にして選ぶという方法もあります。得意なことなら、勉強も身につきやすく、その方面への適正もあると言えるかもしれません。
文系学部の特徴
ここからは文系学部と理系学部の違いについて説明していきます。
高校の教科でいうと、主に国語・英語・社会に関するのが、文系学部です。大きく分けると、人文科学系統と社会科学系統に分かれますが、明確な分類基準があるわけではないので、その点は念頭に置いておきましょう。
学部・学科
どのような学部や学科を設置しているかは大学によりさまざまですが、主なものとして、次のような学部・学科があります。文系学部を理解する一助として、ご覧ください。
<人文科学系統>
文学部→国文学科、哲学科、史学科など
外国語学部→英語学科、フランス語学科など
教育学部→教育学科、教育心理学科など
<社会科学系統>
法学部→法律学科、公共政策学科など
経済学部→経済学科、国際経済学科など
社会学部→現代社会学科、人間社会学科など
商学部→商学科、会計学科など
受験科目
受験科目は大学によって異なりますが、多くの大学では「国語」「英語」を必須とし、「地歴」「公民」「数学」から1科目を選択するという方式が主流です。
卒業後の進路
文系学部の進路は、どの学部であっても、業種や職種にとらわれない幅の広さが特徴です。例えば教育学部で学んで教師になる人もいれば、一般企業に就職して営業職を担当したり、教師以外の公務員になる人もいます。
理系学部の特徴
高校の教科でいうと、主に数学・理科に関する学びをするのが、理系学部です。特徴としては、実験や実習など座学以外の時間の多さが挙げられます。
学部・学科
文系同様、大学によってさまざまな学部・学科が設置されていますが、代表的なものを挙げてみましょう。なお、一般的な理系学部の修業年限は4年ですが、医・歯・薬系は基本的に6年です。
<一般的な理系>
理学部→数学科、物理科など
工学部→建築科、機械工学科など
農学部→園芸学科、畜産学科など
看護学部→看護学科、保健学科など
<医・歯・薬系>
医学部→医学科、生命科学科など
歯学部→歯学科、口腔保健学科など
薬学部→薬学科、臨床薬学科など
受験科目
受験科目は、多くの大学が「英語」「数学」「理科」の3科目としています。なお数学は、文系コースでは履修しない「数Ⅲ」も出題範囲です。理系学部を目指すのであれば、理系コースに進む必要があります。
卒業後の進路
理系の進路は、技術者、研究職のように専門性が生せる業種、職種が多いことが特徴です。もちろん、専門性を生かした分野の教師や公務員となったり、一般企業で営業などの仕事につく方もいるでしょう。
文転・理転のメリットはある?
コース選択の際、理系を選んだものの文系にコース変更することを「文転」、逆に文系から理系に変更することを「理転」といいます。どうしても将来の目標が別方向になってしまった、選んだコースが自分には向いていなかったなど、それぞれの事情により、文転・理転を検討することもあるでしょう。
では、文転・理転にメリットはあるのでしょうか。
どちらも、進路に関して明確な意志と目標があるのなら、メリットはあるといえます。特に文転の場合、受験の選択科目で数学を選択すれば、社会系が苦手でも困りません。
逆に理転の場合は、文系では重視されていなかった理科と数学に取り組まなければならない点で、厳しい面も多いといわれています。
文系と理系、どっちを選択しようか悩んでいる場合は、お伝えしたことを参考に検討してみてください。そのうえで、興味のある学部や学科を設置している学校があったら、積極的に資料を請求したり、学校説明会に参加したりしてみましょう。実際に足を運ぶと、新たな発見もあるはずです。ナナビでも、大学進学に役立つさまざまな情報を提供しています。ぜひ、進路の決定に役立ててくださいね。