高校卒業後の進路として、「医療系の大学で学び、社会貢献したい」と考えている人もいるのではないでしょうか。医療系というとまず思い浮かぶのが医学部ですが、医療系の大学は医学部だけではありません。具体的にどんな種類の大学があるのか、大学卒業後にはどのような職業に就けるのか、解説します。
医療系大学の種類
はじめに、医療系大学の学部の種類と、それぞれの概要を確認しておきましょう。
医学部
人間の病気の予防や治療、健康維持など、医療についてのあらゆる知識を深めながら医師を目指すのが、医学部です。大きく分けると、現場で医療に従事する「臨床医学」、基礎を学びながら治療法を研究する「基礎医学」、社会との関わりの中で医学を実践する「社会医学」の3分野があります。修業年限は6年です。
歯学部
歯学部は、歯を中心として、口腔内や顎など口周辺の健康を守るための知識や技術について広く学び、歯科医師を目指す学部です。医学部同様、修業年限は6年で、「口腔解剖学」「口腔生理学」といった基礎と、現場で予防や治療に携わる臨床の分野があります。
薬学部
古くからある薬草、開発された新薬など、広く薬と人間の関係について学び、研究するのが薬学部です。薬の開発などを目指す「基礎薬学」と、薬で治療をサポートする「医療薬学」「臨床薬学」「社会薬学」に大別されます。前者は4年制で医薬品の研究者、後者は6年制で薬剤師を目指す学部です。
看護学部
看護学部は、病院やクリニックでの診療の際、医師や患者をサポートする知識や技術を習得する学部です。「基礎看護学」「臨床看護学」などを幅広く学び、修業年限の4年を終了すれば、看護師のほか、保健師、助産師の資格試験を受けることができます。ただし、助産師は女性限定です。
医療技術系の学部
名称は大学によりさまざまですが、臨床検査技師、作業療法士、理学療法士など、医療技術の習得や研究、専門家を養成するのが医療技術系の学部です。大きく分けると、血液や尿などの検査を主体にする「臨床検査系」、心身の機能回復を携わる「リハビリテーション系」、レントゲンやCT検査を行う「診療放射線系」の3分野があります。
獣医学部
ペットや家畜など動物の健康を守り、病気の治療に携わる獣医師を目指すのが獣医学部です。現場で動物を診療する「臨床獣医学」、病気のメカニズムを研究する「獣医病理学」などの分野があります。獣医師を目指す場合の修業年限は6年ですが、そうでないコースの修業年限は4年です。
医療系大学の卒業後の進路
次に、医療系大学を卒業した後の進路について見てみましょう。
医師・歯科医師
医学部と歯学部では、ほとんどの学生が医師や歯科医師を目指して勉強や研究に励みます。その夢をかなえ、医師や歯科医師になるという道がひとつです。
免許取得後、医師の場合は2年、歯科医師の場合は1年以上、指定の医療機関などで研修医として勤務することからスタートします。
主な勤務先は病院、クリニック、歯科医院などですが、近年は介護施設や企業内診療所での需要も高まっているようです。
薬剤師
薬学部で6年間学び、薬剤師免許を取得すると、薬剤師として働く道が開けます。病院や調剤薬局、ドラッグストアなどで薬の管理や指導、アドバイスを行うほか、経験を積めば開業も可能です。
また、製薬会社、大学の研究機関などで薬剤師として勤務することもできます。
看護師
看護系の学部で学び資格を取得した場合、看護師として働くことが可能です。
就職先としては、病院やクリニックのほか、介護施設や保育施設、企業内診療所などが挙げられます。
時代を問わず求人も多く、結婚や出産などライフスタイルの変化があっても働き続けられる職業といえるでしょう。
医療技術職
放射線技師、理学療法士、作業療法士などの専門技術を学び資格を得た場合は、その資格が生かせる職場に就職することができます。具体的には、総合病院、リハビリテーションに力を入れている医療機関などです。また、高齢化に伴い介護施設などでの求人も増えています。
獣医
獣医学部を卒業して免許を取得すれば、獣医として働くことが可能です。
獣医の就職先としては、犬や猫、小動物などのペットを診察・治療する動物病院が挙げられますが、それだけではありません。
動物園、水族館のように動物を飼育・展示する施設にも獣医は欠かせませんし、牧場や競馬場で働く獣医もいます。
そのほか、検疫所、動物愛護センターなども、獣医が求められている職場です。
医療に関する企業への就職
製薬会社、医療機器メーカー、医療法人など、医学や薬学の知識を生かせる企業に就職するという道もあります。例えば4年制の薬学部では薬剤師の資格を取得することはできませんが、製薬会社に就職して新薬の研究にあたるといったことが可能です。
理学療法、作業療法で得た知識を生かして医療機器の開発に携わることもできます。
教育者・研究者
大学院に進み、医療系の教育者、あるいは研究者となる道もひとつです。
医療系の分野には、まだまだ解明できていないこともあります。後進への指導ができる人も必要です。
学部で学んだことをさらに追究したい場合は、教育者や研究者を目指すという道もあります。
医療系大学の種類、卒業後の進路についてお伝えしました。具体的なイメージをつかみつつ、進みたい学部を定めていきましょう。その上で気になる学部については、大学や専門学校が開催する説明会に参加してみてください。学校の雰囲気や学びの内容も、具体的にイメージできるはずです。ナナビではエリア、仕事、これから勉強したい学問、好きな学問から大学・短期大学・専門学校を検索できます。ほかにも役立つ情報を提供しているので、ぜひ進路選択に役立ててくださいね。